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犬のクッシング症候群、フワフワと元気を取り戻す食事ケアのポイント

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こんにちは、あじな動物病院の中西です。ポメラニアンの愛犬ボンちゃんがクッシング症候群の治療をしています。ボンちゃんがクッシングとわかったときに、「治療の他にできることはないんかな???」と考え始めたのがこの記事を書くきっかけです。クッシング症候群の愛犬に何ができるか、あじな動物病院の院長がボンちゃんに実践していることを余さずお伝えします。あなたの愛犬の元気に少しでも役立つ情報があれば幸いです。

 

犬のクッシング症候群ってどんな病気?

クッシング症候群とは副腎と呼ばれる内臓からホルモンがでたらめに出る病気です。

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 (副腎は腎臓の内側にひっそりと存在)

 

クッシング症候群には、
副腎で作るホルモンの量を調節する脳に問題があるケースと、
副腎がでたらめにホルモンを作りまくるケースがあります。

クッシング症候群で病気が悪くなっていく要因を大きく2つ。

副腎から過剰に出るホルモンにより、
・体のタンパク質をどんどん燃えて減っていく
・脂肪は燃えずに内臓や血管にたまる

最初は食欲や元気を出すホルモンがたくさん出ているので見た目はとても元気です。

し・か・し、

気がつけば筋肉のタンパク質燃やしてどんどんやせ細り、
毛を作るタンパク質は足りず体はハゲハゲに。
体を守る細胞もタンパク質が足りずに免疫力が落ち、菌やウイルスにやられ放題に。

食べたものはどんどん体の中で脂肪に変換されて、血液や内臓は油でギトギト。

 

さらに進行するともろくなった内臓や血管の膜が破けて、いつ突然死するかわからない状態になります。

 

でたらめに出ている副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモン)を、ちょうど良い量に調節することが治療の目標です。

ホルモンをしっかり調節した上で、
・どんどん使われるタンパク質をしっかり補う
・燃えやすい体に良い油を与える
この2つのポイントを踏まえてクッシング症候群の犬のケアを考えます。

 

どうして犬にクッシング症候群が多いの?

一般的に犬にクッシング症候群が多いのは「遺伝の問題」だと考えられていますが、本当にそれだけなのでしょうか?

 

海外のホリスティック獣医師は、クッシング症候群の犬への「食事を改善」を重視しています。(※1,※2)

 

安価なドッグフードには、質が悪く燃えにくい油が使われています。副腎皮質ホルモンの材料はコレステロール、つまり油です。
・悪い油からステロイドホルモンを作ろうとする→副腎に無理がかかる
・油には有毒なものが溶け込みやすい→副腎や脳がダメージを受ける(脳の60%は脂質です)

また、一般的なドッグフードは穀物=糖質がたくさん使われています。糖質を体脂肪に変換するのも副腎のホルモンのお仕事です。肉風味のスナック菓子を主食にしているようなもので、

・余った糖質をどんどん内臓脂肪に→副腎がフル回転

 

油の質と過剰な穀物がクッシング症候群になる一因ではないかと私は考えています。

 

クッシング症候群の犬ための食事

ここからはクッシング症候群の犬を支える食事についてご紹介いたします。

 

タンパク豊富なムキムキごはん

クッシング症候群では体に必要なタンパク質をどんどん燃やしてしまうため、
・筋肉がやせ衰える
・皮膚がうすくなる、内臓を包む袋(膜)がもろくなる
・毛が薄くなる
・骨、関節、靭帯が弱くなる
こういった症状がみられます。

 

クッシング症候群で弱った犬の回復を助けるために、消化しやすくタンパク質の豊富な質の良い肉・魚・卵などを積極的に与えましょう。

 

ポイント1 質の良い肉やお魚たっぷりの食事をあげる

 

5kgの犬なら今の食事に2日に1回半熟ゆで卵一個。
あるいは20gのお肉(ササミなら1/2本)を加えてみてはいかがでしょう?
(参考値;食事のエネルギー100kcalあたり6g以上のタンパク質量が推奨)

 

さらにもうひと工夫 ローテーションフード

お肉・お魚によって、栄養のバランスに違いがあります。

鶏胸肉:疲労回復に役立つイミダペプチドが豊富
豚肉:疲労回復や神経の修理に必要なビタミンB群が豊富
牛肉:脂肪をエネルギーに変えるカルニチン、貧血予防の鉄分が豊富
鮭:タンパク質とともに体に良い油、オメガ3脂肪酸がとれる
などなど

食事ごとに犬にあげるタンパク源を変えることで、体の修理に必要なさまざまな栄養素が得られます。

 

ポイント2 タンパク源の種類を変え、栄養素のいいとこ取りを目指す

 

ずぼらな私は材料の違う犬の缶詰を毎日くるくる味変で。我が家のポメラニアンにジャストサイズなのが100gトレイ。開けてお皿にのせるだけなのでお気楽極楽。ピュアフィッシュ、ターキー&サーモン、チキンでローテーションしてます。

 

ちょっと時間のあるときはK9ナチュラルを水とまぜてコネコネ。こちらはビーフとチキンとラムをローテーション。内臓も骨も血液も入っていて、体の修理に必要な栄養素ばバッチリ。犬の関節が元気になるニュージランドの緑イ貝まで入ってます。

 朝ゴハンは半熟のゆでたまごを愛犬と一緒にかじり、季節の野菜や果物も合わせてムシャムシャ、ガジガジしております。

 

血液サラサラ、質の良い油


クッシング症候群の犬は、食べたものを脂肪に変えてどんどん内臓にためこみます。血液の中も中性脂肪でどろどろに

 

愛犬の体にたまった油を燃やすためには、血管や内臓にこびりついた重くて燃えにくい油を、軽くてサラサラした燃えやすい油で浮かせて燃やす必要があります。

お魚の油は血液をサラサラにし、内臓や神経の回復を手助けしてくれます。

 

 小型犬は1日小さじ1/2程度

 

ココナッツオイルやMCTオイルは、他の油の4倍の速さで吸収され他の油と一緒にどんどん燃えていきます。

 犬用のパウダータイプ

PE MCTパウダー 犬猫用 100g

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  • メディア: その他
 

 5kgの犬で1日1gからスタート、5gまで増量

 

ポイント3 燃えにくいお肉の脂身は取り除いて、体に良いお魚の油や燃焼系ココナッツオイル・MCTオイルを

 

補足:植物由来のαリノレン酸からEPAを合成するには酵素が必要で、EPAからDHAを合成するのが苦手な犬がいます。肝臓が弱っているクッシング症候群の犬には亜麻仁油やグリーンナッツオイルより、フィッシュオイルをあげましょう。

 

食事の中の糖質をカット


クッシング症候群の犬で油と一緒に気をつけたいのが

「糖質」

人間のダイエットでも「糖質制限」が重要視されています。ドッグフードはあのカリカリ感を出すためのつなぎとして小麦粉やとうもろこし粉などが使用されています。

 

これらの炭水化物は血糖値が上がりやすく、内臓脂肪になりやすい食材です。副腎のホルモンには「糖質を脂肪に変換する」作用があり、内臓脂肪がつきやすくなっています。

 

クッシング症候群の犬では穀物を制限し、かわりにジャガイモ、さつまいも、かぼちゃなどの食物繊維をたっぷり含んだ野菜に変えて血糖値の上昇をおさえ、内臓脂肪をつきにくくしましょう。

 

ポイント4 糖質制限「ロカボ」はクッシング症候群の犬にもとても大切。

 

免疫力アップにオススメの海藻

副腎皮質ホルモンは、犬の免疫力を落とします。免疫力をアップし皮膚を元気にする「海藻」を食事に加えてみましょう。

 

ワカメ、昆布などに含まれるヌメリ成分は、海藻を乾燥や傷、病原体の侵入から守る働きがあり、皮膚や毛を元気になり、体を守る免疫の細胞が活性化します(※3)。

 

犬はあまり食事を噛まないので、細かく刻んだり、粉末になっているものを上手に利用しましょう。

 

さらにもうひと工夫ービタミンCと水

 

クッシングとビタミンC


副腎でホルモンを作るために必要な栄養素の一つがビタミンCです。副腎のビタミンC濃度は血中のなんと150倍。でたらめに副腎皮質ホルモンを作っているクッシング症候群の犬では大量のビタミンCが消費されています。

 

クッシング症候群の犬はビタミンCを作る肝臓が弱っている上に、ドッグフードにはビタミンCが含まれていません。体の修理や健康な皮膚に必要なコラーゲンの材料もビタミンC。クッシング症候群の犬には「ビタミンC」を意識して食事に加えましょう。

 

ビタミンCの多い野菜・果物
野菜:パプリカ、パセリ、ブロッコリー、ピーマン、芽キャベツ
果物:柑橘類、キウイ、柿

 

野菜や果物が苦手、目に見えて体が弱っているケースではサプリメントの利用も考えます。

 

ビタミンCをサプリメントで与えるときは5kgの犬で

250mg〜500mg1日数回に分けて


一度に大量に与えると下痢や嘔吐が見られるので要注意。

 

ポイント5 クッシング症候群の犬ではビタミンCを大量に消費

 

胃腸への刺激が少ないアスコルビン酸カルシウム

(カルシウムをくっつけたビタミンC)

アズミラ スーパーC2000 113g

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  • メディア: その他
 

 小型犬はティースプーン1/8から初めて1日1/2杯まで増量

 

注:ビタミンCを与えすぎると尿中へのシュウ酸カルシウムの排泄が高まる可能性があるため、シュウ酸カルシウム結石のある犬では、ビタミンCのサプリメントを与えるかどうかは獣医師とよく相談しましょう。

 

からだ潤うキレイなお水


クッシング症候群の犬は、ホルモンの影響で水をごくごく飲んでおしっこをジャブジャブします。

 

塩素を含んだ水道水を大量に飲んでいると、塩素由来の有害物質がたくさん体に入ってきます。また、クッシング症候群の犬ではシュウ酸カルシウムの結石できやすくなっています。余計な物質やカルシウムをあまり含まない、天然の「軟水」をあげましょう。

 

地球が濾過してくれたおいしい天然水、硬度は30〜40以下を目安に。

 

食事も手作りの食事やレトルトタイプ・ウェット缶、冷凍生食や水で戻すフリーズドライの食事など、水分が豊富な食事をあげると、乾いた体に水分が染み渡ります。

 

クッシング症候群と漢方薬、ハーブ、サプリメント


愛犬がクッシング症候群になるとホルモンのバランスが崩れることで、
・血糖値が上がりやすく
・水やミネラル、塩分の調節がでたらめに
・体に脂肪がつきやすい
・体の修理の材料が不足
・免疫力が落ちる
など全身に影響がでます。

 

クッシングの治療薬だけではうまく症状をコントロールできないとき、漢方やハーブなど自然の力を借りてみましょう。

 

クッシング症候群と漢方薬


体のバランスを取ることが得意な漢方薬。体の弱っている部分に応じて薬を選びます。漢方が得意な獣医さんに相談してみましょう。

 

水をガブガブ飲んでおしっこをジャブジャブ
水、ミネラル、塩分の調節 ー 腎、陰、炎症(火)の調節
六味地黄丸、八味地黄丸、八仙長寿丸、知柏地黄丸、麦門冬湯など

血液ドロドロ
血液をサラサラに ー 血、湿を調節
蛭やミミズなどの動物性生薬 ー 快元、ルンブルクスルベルス(ミミズ)
血栓症や脂肪塞栓症などによる突然死の予防のために、クッシング症候群の犬には大切なお薬です。

 

ルンブルクスルベルス

 

薄い皮膚、筋力低下
免疫力を上げる、体の修理を助ける ー 肺、脾、エネルギー(気)、防衛力(衛気)の調節
玉屏風散、補中益気湯、十全大補湯、参蘇飲、十味敗毒湯など

 

我が家のボンちゃんは八仙宝寿丸と快元を愛用中。

 

クッシング症候群とハーブ、サプリメント


近所に漢方の得意な獣医さんがいない方のために、クッシング症候群の犬のためのハーブとサプリメントをご紹介します。

注:クッシング症候群の薬の量に影響を与える恐れがあるため、定期的に動物病院で血液検査を受け、肝臓やホルモンの数値に気をつけて使用しましょう。

ハーブ

イギリスで動物のためのハーブを販売しているヒルトンハーブ社から、クッシング症候群の犬をサポートすべくブレンドされたハーブが販売されています。

 アグナスカスタス(チェストツリー):ホルモンバランスを整える、インスリン抵抗性を緩和
ミルクシスル種:肝臓の保護、傷ついた幹細胞の修復
ゴールデンロッド:殺菌、消炎、結石予防
アーティチョーク葉:肝臓の機能を強化、コレステロール・中性脂肪を下げる、胃腸を元気に
バードック根:ごぼうです。デトックス、血糖値を下げる
クリバーズ:腎臓をサポート、デトックスと収れん作用(体からこぼれるものを留める)
ゴーツルー:血糖値を下げる、糖化予防、解毒、疲れを取る

 

サプリメント

フォスファチジルセリンPhosphatidylserine(PS)は、植物由来の副腎のホルモンの効果を抑える物質です。脳の機能を改善する働きもあります(※4)。アメリカではクッシング病の治療薬で認可されていない薬があるため、クッシングの犬のサプリメントによく使われている成分です。犬の認識不全(いわゆる認知症)の症状の緩和にも使用されています。

 まとめ


クッシング症候群の犬では、
・体のタンパク質を無駄遣いしてしまう
・油も糖質も内臓脂肪として蓄える
この2つが起こります。

病気で弱った体の回復を助けるために、
・食事のタンパク源(肉、魚、卵)の種類と量を増やす
・食事の中の悪い油と糖質(穀物)を制限する
・体に良い燃えやすい油を取る
・副腎で大量消費するビタミンCを補う
これらに気をつけて、愛犬の元気とフサフサフワフワを取り戻しましょう。

 

参考文献


米1 https://boulderholisticvet.com/a-holistic-approach-to-cushings-disease/
米2 https://whiteoakvet.com/natural-dog-cushings-disease-treatments/
米3 九州大学大学院農学研究院生命機能科学部門・機能性多糖分析学寄付講座 海藻成分フコイダンの免疫調節機能
 http://www.agr.kyushu-u.ac.jp/lab/bapsa/research_announcement/03.html
米4 https://www.whole-dog-journal.com/health/complementary-care-for-dogs-with-cushing%C2%92s-disease/
米5 Perluigi M., Joshi G., Sultana R., Calabrese V., De Marco C., Coccia R.,Cini C., Butterfield
D. A. In vivo protective effects of ferulic acid ethyl ester against amyloid-beta peptide 1-42-induced oxidative
stress. J. Neurosci. Res. 84, 418-26, (2006).