見極める力・感じる心

ヒゲ犬先生がつづる犬の健康ブログ

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知っておきたい犬の心臓病についてのまとめ

ハートの画像

昔は正しいと思われていたことが、

実は間違いでした、逆でした、ということが結構あります。
「脂肪が太る原因」 → 「炭水化物が太る原因」
「コレステロールは体に悪い」 → 「善玉コレステロールは必要不可欠」

みたいなことがたくさんあるわけです。
心臓の病気でも、

 

以前は
「心臓が血液を送る力が弱った」
      ↓
「強心剤で心臓をもっと頑張らせる」
という時代があったのですが、
ここ10年ほどは、
「どうやって弱った心臓を無理させずに休ませるか」に治療が変わってきています。

今日は犬の心臓の病気についてまとめ。

 

 

心臓の病気をまずはざっくり分類する


細かい話をすると1000ページの教科書が一冊いりますので、
まずは心臓の病気を大きく分けてみます。
・心臓には4つ部屋があり、それぞれの出口に扉がある
 この扉が壊れて心臓の中で血液が「逆戻り」する「心臓弁膜症」
・心臓の「筋肉」にトラブル発生。「心筋症」
・心臓に菌やウイルスが入りこんでしまい炎症を起こす「心内膜炎・心筋炎」
・生まれつきの奇形

犬の心臓のトラブルで一番多いのは心臓弁膜症
特に「僧帽弁」という扉のトラブルが一番多いです。
次が「三尖弁」。
僧帽弁は心臓の左側三尖弁は心臓の右側にあります。

ちなみに獣医さん、
聴診するときは心臓の左右に聴診器をあてます。
心臓の4つの扉の上に聴診器をあて、
一つ一つ音に異常が無いかをチェックしているのです。

心臓が悪くなったときの症状

心臓が悪くなるとどうなるか?
心臓から送り出される血液の量が減ります。
全身へ届けられる血液が減ると?
「酸素」と「栄養」が不足。

 

・疲れやすくなる
・動きたがらない
・興奮すると舌の色が悪くなる
・だんだん痩せてくる
・毛艶が悪くなる

 

心臓の扉が壊れた「心臓弁膜症」では、
心臓の中で血液が逆流します。
血液が送り出せずに行ったり来たり。
だんだん血液の渋滞が心臓の中で起き、
心臓が膨らんでいきます。心拡大
すると隣にある「気管」が押されてしまい、

 

・何もしていないのに「咳」をする

 

という症状が。

あまりに心臓が膨らみすぎると、心臓の神経が「痛っ!!!いててて」
と悲鳴をあげます。


不整脈が出て突然倒れる。

 気を失う。

そして最終段階
逆流・渋滞を起こした血液が心臓からあふれ出す・・・


・肺に血液からあふれた水分がたまる「肺水腫」

 陸にいるのに溺れているような状態です。

・突然死

 

心臓の扉のトラブルは、「聴診」だけで発見できるので、
まめに動物病院に通って聴診をしっかりしてもらうもらいましょう。
早くに見つけられます。


実際には「咳」が止まらなくなったり、
肺に水がたまって危険な状態でいらっしゃることが多いのですが・・・。

 

心臓弁膜症の治療


まず大きくは、内科治療と手術に分かれます。
心臓がうまく仕事を出来ない「心不全」の症状が、
飲み薬でおさまるならば、
まずは内科治療。


以前は心臓病の進行に合わせて、
血管拡張剤 → 利尿剤 → 強心剤・・・とある程度ルールが決まっていて、
「心臓と全身のバランス」というのが深く考えられていませんでした。


最近では、
「興奮・イライラしやすい犬・人」は心臓病が悪化しやすので、
興奮が心臓に無理をさせないにする薬を使います。

利尿剤は腎臓に負担をかけるため、
腎臓をいたわりつつ余分な水分を体から出す薬を使う。
などなど、
「心臓に無理をさせずに、全身のバランスをとる治療」
が心臓に長く頑張ってもらうコツであることがわかりました。

 

ただ、
バランスをとるためには早い段階で治療を始めないといけないのがポイント。
生きるか死ぬかというときに、
心臓を休ませるという治療は残念ながら出来ません。

 

まめに聴診してもらいましょう。

 

実は日本が世界で一番 犬の心臓の外科手術

ここ10年で進歩が著しいのが「外科手術」です。
小型犬の心臓は、「赤ちゃん」より小さいですから、
昔は「手術」という選択肢は「心臓弁膜症」にはありませんでした。
しかし医療の進歩とともに、
犬も心臓の手術が受けられるようになり、成功率も上がっています。

国内で犬の「心臓弁膜症」の手術が受けられるのは、
神奈川県
http://www.jasmine-vet.co.jp/index.html
愛知県
http://www.chayagasaka-ah.jp

などです。

 

手術を受けられるのは一般に12歳くらいまで。
費用は100万円前後。
そして遠方から上記の動物病院にたどり着く体力が残っていることが条件。

 

内科治療をしてもどんどん症状が悪くなるケースは、
効く薬がなくなってしまう前に、手術を決断する必要があります。

 

自宅でできること

 

魚をよく食べるギリシアでは、
心臓病が少ないです。日本よりもよく食べます。
キーワードは”必須脂肪酸”
心臓や血管が元気になります。
利尿剤で無理をかける”腎臓”にも良いので、
内科治療をしているワンちゃんにこれほど良い栄養はありません。

 

d-monkey.hatenablog.com

 

血液をサラサラにして心臓の負担を減らすのに良い食材は
”納豆”
ナットウキナーゼの威力は絶大です。
また心臓が弱ると腸の働きが落ちて”悪玉菌”が増えやすくなりますが、
納豆菌が悪玉菌をやっつけてくれます。

 

d-monkey.hatenablog.com

 

心臓と腎臓を元気にする食材としては
”小豆”があります。
体の水分のバランスをとり、小豆自体にやわらかな利尿作用があります。

 

薬膳では「弱った内蔵を食べましょう」という、
シンプルなルールがありますので、
”ハツ”=心臓を調理してあげると良いです。
心臓をすりつぶして粉にした犬用のサプリメントがあったけれど、
今も売っているんだろうか。

 

ココナッツオイルを古くから食べている民族は、
循環器の病気が少ない統計があります。
良い油は血液をサラサラに、血管も元気に。
ココナッツ・エゴマ・亜麻仁・オリーブ・フラックスシードなどなど。
熱をかけずに抽出した良い油を積極的にあげましょう。

 

d-monkey.hatenablog.com

 

イライラ・カリカリしやすい子には
牡蠣の殻から作ったカルシウムがおすすめ。
漢方で言う「重鎮安心薬」。

 

まとめ

・心臓弁膜症は「聴診」で見つけられることが多いので、
 動物病院に行ったらしっかり聴診してもらいましょう。
・弱った心臓に無理をさせないためには、早くからの治療が大切
・現代は「手術」もひとつの選択肢
・普段から心臓と血管を元気にする食材を