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犬のかゆみに食べておいしいスキンケア、油を見直そう!

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こんにちは、あじな動物病院の中西です。犬のかゆみを治療しているけれどなかなかよくならない。おうちでできるケアが何か無いかな?というときに知っておきたいのが犬の体に良い油。

アレルギーの治療では、アレルギーを起こすタンパク質に着目するのですが、油については思いのほか盲点となっています。

今回は食べるスキンケアとして犬の体に良い油についてご紹介します。

 

 

犬のかゆみがどうして油でやわらぐの?

皮膚がかゆい。「かゆみ」のあるところには「炎症」が起きています。

 

・菌やカビ、ダニとの戦い = 感染性皮膚「炎」
・皮膚のアレルゲン、化学物質との戦い = アレルギー性皮膚「炎」
・食事や化学物質との戦い = 食物過敏症・食物アレルギー 

 

キーワードは炎症です。

 

体に良い油の中には、かゆみや炎症をおさえ、かゆみのもととなる体内の物質のバランスを整える成分を含む油があります。EPAやDHAが豊富なお魚の油フィッシュオイル、αリノレン酸を含むアマニ油などです。

 

炎症を起こす菌やかびの増殖を防ぐ成分をもつ油はココナッツオイルです。

 

こういった油を食事に積極的に取り入れることが、かゆみが出にくい体を作る助けとなります。

 

犬の体に良い油とは?

犬の体に良い油とはそもそもどんな油でしょう?
・ドッグフードに入っている油では足りない栄養素が入った油
・体にたまらずすぐに燃えてエネルギーになる、元気になる油
・元気な細胞の壁を作る材料になる油
・体のバランスをとる、炎症や病気の起こりにくい油
・低温で栄養が壊れないように作られた、ちょっと高価な油

犬の健康に良いことが証明されている体に良い油は、ココナッツオイル、アマニ油、お魚の油(フィッシュオイル)、月見草油です。

 

逆に体に悪い油は、
・体にたまって肥満になりやすい
・炎症を起こしやすく、かゆみ、アレルギーなどを起こしやすい
・体がベトベト、ギトギトしやすい
という特徴があり、一般的に安くて大量に作られている油、空気に触れて時間が経ち錆びてしまった油、高温調理に使う揚げ油などが例としてあげられます。

 

体に良い油の効果を得るためには、体に悪い油を出来る限りとらない工夫も大切です。今食べているフードや食事に含まれている油をチェックしましょう。

 

犬がかゆいときにオススメの体に良い油

 

お魚の油、フィッシュオイル

 

ポイント
・フィッシュオイルにはEPAとDHAが豊富に含まれる
・EPAとDHAはかゆみの出にくい体を作る
・EPAは血流サラサラ、血管をしなやかに。炎症を抑制
・DHAは脳、心臓を元気にする材料。認知機能の改善に

 

かゆみのトラブルを抱える犬に一番オススメしたい油は、「お魚の油」=フィッシュオイルです。

 

一般的なドッグフードに使われている油は、オメガ6脂肪酸のリノール酸という成分が多いのですが、かゆみの出やすい犬に不足しているのはオメガ3脂肪酸という油の成分です。

 

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オメガ6脂肪酸を取りすぎると、アラキドン酸を中心とした炎症やかゆみを強化する物質が増えてしまい、アレルギー、アトピー、炎症性の病気になりやすくなります。

 

逆に、オメガ3脂肪酸が足りていると、炎症や痒み抑える物質が体の中で増えるため、炎症やかゆみが出にくくなります。

 

αリノレン酸という成分からEPADHAは作られるます。かゆみの出やすい犬では、
・αリノレン酸からEPAやDHAを上手に作ることができない
・一般の食事ではオメガ3脂肪酸が足りない
という状態におちいっています。

 

このためフィッシュオイルを与えることでオメガ3脂肪酸であるEPAやDHAを補ってあげると体の中でオメガ3とオメガ6のバランスが取れ、かゆみが出にくくなります。

 

またフィッシュオイルに含まれるビタミンEも、かゆみを緩和する作用を持っています。フィッシュオイルを与え、オメガ3脂肪酸やビタミンEを補うと、細胞が元気になり、かゆみの出にくい体を作ることができます。

 

お魚の油、フィッシュオイルを選ぶときのポイント
・低温で作られ、大切なオメガ3脂肪酸を含んだ栄養素が壊れていない
・重金属のチェック済 (大きなお魚ほど、油はたくさん摂れるが、食物連鎖で重金属が体に蓄積している可能性がある)
・オメガ3脂肪酸のEPA、DHAがタップリ入っている

 

手軽に食事にかけられる、ポンプタイプのサーモンオイル

フィッシュ4ドッグ サーモンオイルSOS 真空ポンプ150ml

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最初はEPAとDHAを合わせて1日100mg程度(体重5kg)から与えましょう。かゆみの改善や、かゆみ止めなど薬の減量が目的であれば、1日約300mgを目安に増量していきます。

 

アレルギーでかゆみのある犬では、カプセルに使われているゼラチンにアレルギーがでないか注意しましょう。

 

栄養が壊れにくい、 安心の個包装タイプ

【犬・猫用】高濃度DHA&EPAケア ~PSH Highly-concentrated DHA&EPA Care~

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重金属テスト済み、オーストラリア政府認定の人用フィッシュオイル

 

アマニ油

 

ポイント
・EPAやDHAの材料になるのがαリノレン酸

 

お魚クサイのが苦手。犬と一緒に食べて健康を目指したい。そんなときはアマニ油がオススメです。

アマニ油にタップリと含まれるαリノレン酸から、かゆみが出にくい体を作るために必要なEPAとDHAは作られます。

 

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αリノレン酸、EPA、DHAなどのオメガ3脂肪酸は、
・丈夫でやわらかな「細胞の壁」を作る材料
・血液をサラサラにして心臓や血管の病気を減らす
・皮膚や関節で炎症や病気を起こりにくくする
・元気な脳や神経の細胞を維持する
など、とても大切な役割を持っています。

 

一日に小さじ1杯(体重5kg)が目安です。アマニ油は1ヶ月以内に使い切りましょう。冷蔵庫で保存。

 

ニップン アマニ油 150g

ニップン アマニ油 150g

 

 

:αリノレン酸からEPAやDHAを上手に作れない犬がいます。皮膚の状態があまり改善しないときは、フィッシュオイルへ切り替えましょう。

また、毎日食べている食事にオメガ6脂肪酸の多い油や、過酸化した油がたくさん含まれている場合、アマニにアレルギーがある場合、ゆみが増してしまうケースがあります。無理せずアマニ油をやめましょう。

 

人ではアレルギーに良いとされる「エゴマ油」ですが、犬では文献がありません。αリノレン酸、ロズマリン酸、ルテオリンなどの成分がアレルギーを抑制すると言われています。アマニ油の味が苦手、体に合わないときは、えごま油で代用が可能だと考えられます。

 

実際のケース

 アレルギー性皮膚炎のキャバリアさん。数年間、他の動物病院にてアレルギー性皮膚炎の治療。改善がなく転院。手作り食とアポキル、漢方薬にて治療するも首の皮膚炎だけが最後まできれいにならない。


アマニ油を1日小さじ2杯を食事に加える。

 

1ヶ月ほどで首の症状が改善。薬も減薬に成功!αリノレン酸が不足していた典型的な例です。

 

※逆にアマニ油、フィッシュオイル、月見草油、どれもあわずに体が油くさくなり、かゆみが増した症例もあります(この例は手作り食ではなくドッグフードだったのですが・・・。)。油の使用は自己責任で。

 

空気に触れにくい便利なボトル。

日清アマニ油 145g

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ココナッツオイル

 

ポイント
・皮膚ぜ菌やカビを増えにくくするラウリン酸が豊富
・素早く吸収、すぐに燃えてエネルギーになる

 

皮膚で菌やマラセチア(酵母菌)が繁殖するとかゆみがでる犬には、ココナッツオイルがオススメです。

ラウリン酸と呼ばれるココナッツオイルの成分が、体の中で菌やウイルス、カビをやっつける「モノラウリン」という成分に変わります。

 

食べる外敵キラーがココナッツオイルです。トラブルが多い部分に直接塗って皮膚を守るのも良いでしょう。

 

胃腸への負担も少なく(吸収される速度が他の油の4倍)、すぐに燃えて太りにくい元気が出る油がココナッツオイルです。ココナッツオイルに含まれる中鎖脂肪酸は、赤ちゃんが飲む母乳にもたくさん含まれており、成長期に必要なエネルギーをサポートするのに一役買っています。

 

逆にドッグフードに含まれる動物性の油は、燃えにくく体にたまりやすい油です。燃えにくい油を減らし、ココナッツオイルを食べることで、体も体を守る細胞も、エネルギッシュに活動できます。

 

アマゾンベストセラー 

レインフォレストハーブ 有機JASオーガニックバージンココナッツオイル 500ml 1本

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月見草油

 

ポイント
・他の油ではうまくいかないときの助っ人が月見草

 

ちょっと聞き慣れないのが月見草油=イブニングプリムローズオイルです。「ガンマリノレン酸」という成分をたくさん含んでおり、犬のアトピー性皮膚炎の症状をやわらげる効果があるという文献があります。

 

フィッシュオイルと一緒に与えると、より効果的にかゆみの出にくい体を作ってくれます。小型犬で1日に小さじ1/4〜1/2杯程度です。

 

 

<ペット用>フィッシュオイルと月見草油・アマニ油がまとめて入っているサプリ

ディーエイチシー (DHC) DHAEPA

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ごま油やオリーブ油は?

 

ごま油やオリーブオイルはオレイン酸という成分が多く、熱に強いという性質を持っています。加熱調理に向いているのがこの2種類の油です。犬での論文はあまり見られませんんが、ホリスティックの手作り食をすすめる海外の獣医さんは、加熱に強いゴマ油とオリーブ油を手作り食の調理にすすめています。

 

ごま油

 

ポイント
・主成分のリノール酸が約42%(オメガ6脂肪酸)
・オレイン酸が豊富(41%)、皮脂の主成分
・皮膚、肉球のかさつきに。外用でもOK
・毛穴の過剰な皮脂を抑えるパルミチン酸も含有
・ゴマリグナンやセサミンでアンチエイジング効果

オレイン酸を約41%含んでいます。皮脂の主成分がオレイン酸です。毛がパサついている、皮膚が乾燥している犬に向いているでしょう。

 

パルミチン酸という成分がビタミンAを安定化するため、皮膚の角質をガッチリと安定化してくれます。カサカサ、バリバリの皮膚に良さそうなのがごま油です。

 

インドの医学、アーユルヴェーダの世界ではデトックスの油として重宝されています。体から薬や化学物質、老廃物の排泄を手伝ってくれるのがゴマ油です。

 

薬膳の世界では「腸を潤し便通を改善、体から熱や毒を追い出し老化を防止」する効果があるとされています。

 

注:オメガ6脂肪酸であるリノール酸を42%含むため、今とてもかゆい!という犬は避けた方が良いかもしれません。

 

焙煎していない透明なゴマ油を使いましょう

マルホン 太白ごま油 450g

マルホン 太白ごま油 450g

 

 

 

オリーブ油

 

ポイント
・オレイン酸がとても豊富(75%)、熱にかなり強い
・ポリフェノールやビタミンEが豊富、血管の健康に良いとされている
・便秘や皮膚の健康に向いている油

 

オレイン酸がごま油よりも多い75%、熱にとても強く加熱調理に一番向いている油です。皮脂の材料になるだけでなく、腸を運動を促進するので「ウンチがカチカチ」という犬に向いているでしょう。

 

薬膳の世界では肺にこもった余分な熱を取り、皮膚を潤す作用を持ちます。呼吸器の乾燥や乾燥肌に向いていると考えられます。逆に皮膚がベトベトして「マラセチア」が多い犬は、オリーブ油を避けたほうが良いと言われています。

 

産地や価格帯で品質のバラ付きが大きいのがオリーブ油。品質の良いオリーブ油を選んで使いましょう。

 

amazonでレビュー5つ星はこの2つ

マニ ブラウエル エキストラ ヴァージン オリーブオイル 250ml
 

 

 

油選びのポイント

 

油はなまもの。体に良い油は化学反応を起こして壊れやすいデリケートな油です。


①熱、空気、光から守ってくれるボトルに入った油を選ぶ
②光の当たらない棚、冷蔵庫、冷蔵棚にある油
③一番絞り(エクストラバージン)の油
④低温で絞った油(低温圧搾)、加熱せずに絞った油(非加熱圧搾)
⑤生産者と加工者が同じ油(材料が新鮮)

一回に使う量は少量です。少々値が張っても品質の良い油を一緒に食べましょう。 

 

 まとめ

 

犬の体に良い油をご紹介しましたが、使い分けをおさらいしましょう。

フィッシュオイル ー アレルギーの犬や老齢犬、関節や心臓の弱ったワンコに
ココナッツオイル ー 高齢犬のエネルギー源に、感染に負けない体づくりに
アマニ油 ー かゆみの少ないバランスの取れた体づくり、魚の臭いが苦手な犬に
月見草油 ー オメガ3脂肪酸だけではバランスを取り戻せないときに
ごま油 ー カサカサ、バリバリの皮膚に、デトックスのお手伝い
オリーブ油 ー 加熱調理に。便通の改善と血管の元気

 

良い油を食べさせることを心がけると同時に、体に悪い油をできる限り減らす工夫を一緒にしましょう。

 

良い油も食べ過ぎれば太ります。オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸のバランスが崩れると炎症が起こりやすくなります。一つの食材にこだわらず、少しずつ色々な食材をとることが健康の秘訣です。

 

油だけでなく、炭水化物やタンパク質、肉に魚に卵にチーズ、野菜に果物、ちょっとずつ季節のものをいろいろ一緒に楽しみましょう。

 

おいしいキレイなお水も大切です。

 

犬と油については、こちらの記事も参考にしてください。

ajinavet.com