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ペットとあなたの元気を応援 獣医さんが綴る犬猫の健康ブログ

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犬のワクチン、副作用の出にくい工夫とは?

注射の画像

4月になると突然忙しくなる動物病院。
狂犬病ワクチンに混合ワクチン、多くの犬にワクチンを注射、注射、注射。ここで私が疑問に感じている問題が一つあります。それは、

 

 65kgのグレートデーンも、

1.2kgのチワワもワクチンは同じ量でいいの?

 

一般的に「薬」は全て体重によって量を変えます。ワクチンだけが全て同じ量。

 

・・・???

 

体の小さな犬に、量をを減らして注射しては駄目なのか?というのが私の大きな疑問です。気になったので調べてみました。

 

 

小型犬はワクチンの副作用が出やすい

小型犬の方がワクチンの副作用が出やすいという論文が2005年に出ています(文献1)


若い、避妊・去勢手術をしているという要素もワクチンの副作用と関連しています。

 

ポイントその1

小型犬はワクチンの副作用が出やすいので注意が必要。

 


ワクチンの副作用?

 

ワクチンを注射すると、犬の体では「敵が来たぞー」と防衛体制を整えます。

これが過剰に起きると、
・熱が出る
・ふるえる
・じんましん、顔が腫れる
などの症状が出ます。


生まれつきワクチンにアレルギーを持っていると、
・立てなくなる
・呼吸困難
・歯茎や舌が真っ白
などの危険な状態に。


「アナフィラキシー」と呼ばれています。

 

ちなみに犬が異常に興奮しているパニックを起こしているような状態で、無理にワクチンを打つと副作用が出やすいです。

 

私の動物病院ではオヤツを飼い主さんにあげてもらい、食べた瞬間にワクチンを打ちます。その後素知らぬ顔をして私もオヤツをあげます。
(動物病院でその犬がオヤツを食べられる場合ですが)

 

オヤツどころではない犬はとにかく素早く打って、さらりと帰って頂きます。


小型犬にはワクチンの量が半分でも同じ効果

小型犬にワクチンの副作用が出やすいということがわかったのですが、注射の量を減らして注射しても効くのか?という、今回の本題。

 

ワクチンの役割は体に弱くした菌やウイルス、またはその部品を注射して、体に「こいつは敵だ」と防衛体勢を整えてもらうことです。

 

敵だと体が認識してくれる量を、必要最小限だけ注射で入れれば良いのです。

30kgの犬で「敵だと認識してくれる注射の量」があるとすれば、
3kgの犬には「10分の1の量」で充分に敵だとわかるはずです。

 

アメリカの獣医師Dr.JEAN DODDS先生が論文を出されていました(文献2)

 

小型犬にワクチンを半分の量で打っても、
ジステンパーやパルボウイルスへの防御力は、
しっかり上がっていることが、
血液検査でキチンと確認できまましたよ。

という中身です。

 

小型犬にワクチンを半分に減らして注射しても、ちゃんと効くことが既に証明されているのです。

 

ポイント2
小型犬にはワクチンは、半分の量で充分


ただし自己責任

混合ワクチンに含まれるジステンパーウイルス・パルボウイルスワクチンは、感染すると生命に関わるような病気のワクチンです。

 

飼い主さんがこれらの病気から愛犬を守るために、予防のために注射するのが混合ワクチン。

 

人がインフルエンザにかかりたくないから、自分で「ワクチンを打つ」という決意のもとに、病院へ行って注射してもらうのと一緒です。

 

そのワクチンを半分の量にするか獣医さんと相談しますが、最終的には自分の責任で決めることになります。

 

私はワクチンを打つ目的は「病気の予防」であって、犬に負担をを出来る限り減らすことが大切だと思っています。

小型犬にワクチンを半量で打つことには大賛成です。しかしこれは、「私の意見」

 

ワクチンを作っているメーカーは「ワクチンは犬一匹にまるまる一本全て」打たないと、「効果は保証できません」と必ず言うでしょう。

 

そういう「約束」で、「薬事法」という法律で決められた試験をして「許可」を取ってワクチンを販売しているため、国に認めてもらった使い方以外は認められない立場なのです。

 

ワクチンの量を減らすのはあくまで自己責任で、ということになります。

 

ポイント3
ワクチンを打つか打たないか、
量をどうするか、
犬の健康と負担を考えて、
最後は自分で決断。

 

まとめ


・小型犬はワクチンの副作用が出る確率が高い
・小型犬にワクチンの量を半分で注射しても、ちゃんと効く
・体の負担を減らすために、ワクチンの減量を願いでる時は自己責任で

 

薬もワクチンも、
必ず「良い効果」と「副作用」が必ずあります。

何のために薬やワクチンを注射するのか?
副作用を軽減するためには?

獣医さんと一緒に、考えてみましょう。

 

参考文献

 

文献1
Moore GE1, Guptill LF, Ward MP, Glickman NW, Faunt KK, Lewis HB, Glickman LT.
Adverse events diagnosed within three days of vaccine administration in dogs.
J Am Vet Med Assoc. 2005 Oct 1;227(7):1102-8.


文献2
Dodds, W. Jean, DVM. “Efficacy of a Half-Dose Canine Parvovirus and Distemper Vaccine in Small Adult Dogs: A Pilot Study.” AHVMA Journal 41.Winter (2015): 12-21.

 

追記 2016.8.23

 

ワクチンで副作用が出やすい犬種がまとまっている論文がありましたので、

追記しておきます。

 

秋田犬、アメリカンコッカースパニエル、ジャーマンシェパード

ゴールデンレトリバー、アイリッシュセッター、グレート・デーン

ケリーブルーテリア、全てのダックスフンド、全てのプードル

オールドイングリッシュシープドッグ、スコティッシュ・テリア、スコティッシュ・テリア

シェットランドシープドッグ、シーズー、ビーグル

ワイマラナー 

(Dodds, 2001より)